By Colin McKerracher, BNEF
本レポートはブルームバーグNEF発行の Electric Vehicle Outlook 2018 のダイジェスト版を日本語に翻訳したものです。ブルームバーグNEFとご契約中のお客さまは英文レポート全文を入手いただけます。
世界の自動車市場は急速に変化している。電気自動車(EV)の販売は、2014年のわずか数十万台から増加し、今年は160万台を超えるペースになっている。その急速なEV市場拡大の主な要因は以下の通りである。 ここ数年間におけるリチウムイオン電池価格の下落 ブルームバーグNEFは、 2010年に車載用リチウムイオン電池価格の調査を開始したが、当時の平均価格は1,000ドル/kWhであった。 それが2017年末には平均価格が209ドル/kWhまで下落し、7年間で79%も値下がりした。
車載用蓄電池の平均エネルギー密度も、年5-7%程度改善している。
政策支援 世界各国の政府が、市場拡大のためにEVの購入に対する手厚い支援策を導入している。それに加え、燃費基準の強化によりフリートの大幅な電動化が 必要になる。
また中国の「新エネルギー車規制 (NEV)」により、大部分の自動車メーカーは想定よりも早く、EVの生産拡大を迫られている。 ただし、この取り組みは国や省のレベルで行われているものではない。2017年には、中国の6都市だけでEV販売が全世界の21%を占め、このすべての都市で、内燃機関乗用車の新車の購入と使用が大きく制限された。 欧州では、ディーゼル車禁止規定の可能性に対する不確実性により、消費者と自動車メーカーの双方がディーゼル車から離れつつある。都市部の大気汚染問題が、瞬く間に都市政策の重要な柱になり、EV販売にプラスに働いている。
自動車メーカーによるコミットメントの高まり フォルクスワーゲン、ダイムラー、日産、ボルボなど世界の自動車メーカーはいずれも、今後10年間の電動化について積極的な計画を立てている。 EVの販売モデル数は、2017年末の155モデルから2022年には289モデルまで大幅に増加する見込みである。
中国の自動車メーカーはさらに先に向かっており、長安汽車などの企業は2025年以降、EVのみを販売することを表明している。
世界の自動車販売に占めるEVの割合はまだ少なく、ほとんどの地域で2%足らずだが、一部の国では急増しており、今後20年で大きな変化があると思われる。 それでもまだ課題があり、依然多くの国で充電インフラが障壁となっており、また、コバルトなどの原材料の供給が、バッテリー価格下落の障害となる可能性がある。 BNEFのEV長期販売見通しでは、こうした変化と、そのエネルギー、自動車、鉱業といった各分野への影響を探っている。